先に結論をはっきりさせます。2 つの返済方式の「利息の単価」はまったく同じで、どちらも現在の残債に月利を掛けて当月の利息を出します。総利息に差が出るのは、どちらかが得だからではなく、元金均等は初期に元金を多く返すため残債が少なく、結果として発生する利息も少なくなるからです。
ここを理解すれば、この後のすべての疑問がすんなり通ります。
以下は中国の住宅ローンを前提とした説明です(金額の単位は元)。
2 つの方式は何をしているのか
元利均等(等額本息):毎月の返済総額が固定です。銀行が先に月々の返済額を計算し、30 年間ずっと同じ金額を返します。その中身は、初期は利息が大部分で元金がわずか、時間が経つにつれて元金の割合が上がっていきます。
元金均等(等額本金):毎月返す元金が固定(総元金 ÷ 返済回数)で、そこに当月の利息を足します。元金が減り続けるので、返済額は毎月少しずつ減っていき、初月が最も高く、最終月が最も低くなります。
共通点は、利息が常に「残債 × 月利」であること。違いは元金を返す速さだけです。
具体的な数字で試算する
借入100 万元、年利3.1%(月利およそ 0.2583%)、期間30 年(360 回)とします。
| 項目 | 元利均等 | 元金均等 |
|---|---|---|
| 初月の返済額 | 約 4,270 元 | 約 5,361 元 |
| 最終月の返済額 | 約 4,270 元 | 約 2,785 元 |
| 返済額の推移 | 一定 | 毎月およそ 7 元ずつ減 |
| 総利息 | 約 53.7 万元 | 約 46.6 万元 |
| 利息の差 | 元金均等のほうが約 7.1 万元少ない | |
数字は明快です。元金均等は総利息が 7 万元ほど少ないかわりに、初期の返済額が約 1,090 元高いうえ、その高い返済額がかなりの期間続きます。
別の見方をすれば、この 7 万元は「節約した」のではなく、「毎月 1,090 元を多く返す」ことと引き換えに得たものです。あなたが選んでいるのは「より安いお金」ではなく「より速く返すこと」です。
決定的な分岐点:繰上返済をすると差の意味が変わる
最も見落とされやすく、しかも多くの人にとって最も重要な点です。
30 年間そのまま保有するつもりなら、2 つの方式の違いは上の 7 万元だけです。しかし5〜10 年のうちに繰上返済で完済する、あるいは売却するつもりなら、話はまったく変わります。
- 元利均等は初期の返済の大部分が利息で、元金はほとんど減りません。5 年返済したとして総額約 25.6 万元のうち、元金は約 9 万元しか減っておらず、91 万元が残ります。
- 元金均等は初期の元金返済が速く、5 年で元金は約 16.7 万元減り、残債は約 83.3 万元です。
つまり 5 年後に繰上返済するなら、元金均等の残債は元利均等より約 7.7 万元少ない。すでにそれだけ多く元金を返してきたということです。この金額は「得した」のではなく、銀行に前倒しで渡したお金です。
ですから判断の基準はこうなります。その前倒しで払うお金に、もっと良い使い道があるか。
判断基準:自分に 3 つの質問をする
質問 1:初期の返済負担はきつくないか。
元金均等の初月 5,361 元に対し、元利均等は 4,270 元で 1,000 元以上の差です。この差で毎月の生活が苦しくなるなら、無理に元金均等を選ぶべきではありません。住宅ローンは 30 年の話で、最初の数年に資金繰りが破綻するリスクは、利息の差よりはるかに大きいです。
多くの銀行は「返済額が収入の 2 倍以内」といった審査基準を設けており、元金均等では審査自体が通らないこともあります。これは非常に現実的な制約です。
質問 2:どのくらい保有するつもりか。
保有期間が長いほど、元金均等の利息節約効果は大きくなります。3〜5 年で売却や住み替えの可能性があるなら、両者の実際の差はかなり小さくなります。「長く少なく払う」利点を享受できず、初期に多く元金を払っているからです。
質問 3:そのお金に別の使い道があるか。
ここが核心です。住宅ローンの金利が 3% 台で、安定して 4% 以上の運用ができるなら、手元にお金を残したほうが有利で、返済額の低い元利均等を選ぶべきです。逆に、余裕資金を普通預金に置いているだけなら、繰上返済はリスクなしで 3% の利回りを得るのと同じなので、元金均等(あるいは元金を多く返すこと)に価値があります。
よくある誤解
- 「元金均等のほうが得」 —— 不正確です。利息の単価は同じで、返すリズムが違うだけ。「得かどうか」は資金の機会費用で決まり、返済方式そのものの問題ではありません。
- 「元利均等は銀行に余計に取られる」 —— 銀行の金利はどちらも同じです。銀行が元利均等を勧めるのは、審査が通りやすい(返済額が低く、収入カバー倍率の要件が緩い)からであることが多く、必ずしも騙しているわけではありません。
- 「繰上返済は期間短縮を選ぶべき」 —— そうとは限りません。期間短縮は利息の節約が大きい反面、返済額が変わらないため負担が重いままです。返済額を減らせば、現金流がすぐ改善します。これは 2 つの異なる目的で、実際の必要に応じて選んでください。
- 「繰上返済は早ければ早いほど良い」 —— 概ね正しいです。利息は残債に対して付くので、早く元金を返すほど以後の利息が減ります。ただし銀行に繰上返済の違約金がないか(1 年以内の返済に一定割合を取る、年数回までに制限するなど)は確認してください。
なぜ「総利息」の単純比較ではだめなのか
ここまで読めばおわかりでしょう。総利息だけを比べるのは誤解を招きます。2 つの方式では、資金を占有している時間がまったく違うからです。
厳密にはキャッシュフローを同じ時点に割り引いて比較する必要があります。ただし一般の購入者にとってそこまで複雑にする必要はなく、3 つの質問(返済負担、保有期間、資金の用途)で判断すれば実用上は十分です。
もう 1 点注意してください。上の数字は固定金利での静的な計算です。実際の住宅ローンでは LPR(貸出最優遇金利)が調整され、返済額もそれに伴って変わります。金利の再設定日(通常は毎年 1 月 1 日か融資実行日)以降、返済額は新しい金利で再計算されます。